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継承・使命

帰国


「お帰りなさいませ結斗様!」


「ただいま、久しぶりだねカスミ。
元気だった?」


「はい!結斗様のお帰りを
お待ちしておりました…!」


カスミと呼ばれたその少女は

彼の後ろに立っていた人影を見つけた。


「結斗様?後ろのお方は…?」


「あぁ、紹介してなかったね」


彼が合図を促すと

後ろに立っていたその人は結斗の横に並んだ。


「初めまして。アリア・バレンタインです」


「でも…その方は…」


カスミが気になったのは

彼女の外見だった。

美しく整った顔立ちに碧い瞳。

長い金髪。


だが耳の形が異様だった。


ピンと尖ったその耳は

明らかに人間のものとは思えなかった。


「彼女は僕の最高傑作」


「つまり…」


「うん、人形だよ」


結斗は代々人形を操る叶家の

『ドールエランド』として生まれ育った。

技術、能力共に

誰にも負けないくらいに成長していく。



そんな結斗は

2年間ほどフランスへ留学をしていた。


その期間も終わり

ようやく自宅のある日本へと帰国してきたのだった。


「父さんと母さんは?」


「奥でお待ちしております」


カスミの後に続いて歩く。
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