とあるレンジャーの休日
「こんにちは、紫乃先生」
「あ、ご苦労さまです。ちょっと待ってて」
紫乃は長椅子の並ぶ待合室に二人を待たせ、検体の箱を取りに、診察室の中へ入った。
専用冷蔵庫の中から今日採取した分を取り出し、慎重に抱えて待合室に戻る。
すると、なぜか二人は揃って不機嫌そうな顔をしていて、紫乃は違和感を感じた。
その男性も歩も、基本はいつもニコニコしているからだ。
「どうかした?」
「いいえ、何も。お預かりします」
業者の彼は首を振り、肩から提げた冷蔵ケースのふたを開け、手を伸ばした。
検体の箱を渡して本数を確認し、伝票を切る。
そこへ紫乃もサインを入れた。
「至急分があるので、よろしく」
「明日は日曜ですけど、結果見ますか?」
「うん。申し訳ないけど、送ってもらえる?」
「了解しました」