とあるレンジャーの休日

「眉間のシワ、クセになるよ」

「誰のせいだと……」

「せっかく綺麗なんだから、怖い顔したらもったいないって」

 紫乃は言葉に詰まって、黙り込んだ。
 ――頬が熱い。
 赤くなっているだろう顔を隠すのに、咄嗟に横を向いた。

 すると、それを見た歩が嬉しそうな口調で言う。

「紫乃かわいい」

「もーっ、うるさい!」

「好きだよ」

「……っ、なにを」

 腰に腕が力強く回される。
 広場に設置された大きなオブジェの陰に連れ込まれ、抱きしめられた。

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