シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~
「なんでついてくんの」
「なんでかな」
「おま……大丈夫か? 起きてる? 目、開いてる?」
「うん」

 わたしは確かめたいのだ。一度起こったことがもう一度起こるのか。
 ところどころ筋書きを知っているドラマが、その通りに進行するのか。
 この後、遥人は航と遭遇するはずだ。
 図書室の本を運ぶ航を見かけた、と前に遥人は言っていた。
 でもそんな予言をしたら、奇異な目で見られるのは間違いない。

「わたしのことは気にしないで。邪魔しないから」

 遥人は肩をすくめ、バッグをかつぎ直す。
 グラウンドを去り、校舎の方へ。
 さっきより歩くスピードがゆっくりになったのは、気のせいではないと思う。
 わたしが追いつける速さ。
 近くにいてもいい、と言われている気がして、心が軽くなった。
 今なら話しかけられる。

「亜依ってすごいよね」
「……ん」

 わずかな反応が返ってきた。
 わたしは喋り続ける。
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