Des gouttes de larmes 〜涙の雫〜
今日は待ちに待った牡蠣小屋だ。




昨日の午後からまったく仕事が手につかなかった。




気温は低いが天気は快晴。




絶好の牡蠣小屋日和。




いつもより目が早く覚めてしまった。




私、遠足前の子供みたい。




私は調味料担当だったので、色々な調味料をリュックの中に詰め込んだ。




ウキウキの気分で、待ち合わせの場所へと向かった。





『おーい奈々ちゃんおはよ〜!』




翔君が笑顔で手を振ってくれた。




『もう直ぐ、雄大さんが到着するって〜
あっあの車だ!』




黒のワンボックスカーがこっちへ向かっていた。



『奈々ちゃんおはよう!晴れてよかったね』




『雄大さんおはようございます!車出してくれてありがとうございます』




『いやいや、俺ほんとは飲みたかったけど、夜車運転しなきゃいけないから飲めないんだよ』




雄大が残念そうに笑う。




『奈々先輩おはようございます〜。一杯調味料持ってきました??』



『おはよう。考えられるやつは持ってきたつもり。あんたはお菓子担当だっけ?』




『一杯持ってきました〜車で食べましょう♡』




『よし皆そろったから、車に乗って乗って。あんまり綺麗じゃないけど、そこは勘弁してね』




私と翔君は車の後部座席へと乗り込んだ。




口では雄大さんは綺麗じゃないと言っていたが、芳香剤のいい香りが充満していて、とても綺麗にしていた。




牡蠣小屋があるは漁港までは車で約一時間半くらい。




牡蠣小屋の季節になると大混雑する漁港だ。




私も学生時代に行った事がある。当時の彼氏と一緒だったが。




『雄大さんチョコレート食べます〜??』




『おっありがとう』




『翔さんもチョコレート食べます〜??』




『うんありがとう〜』



里菜はそれぞれにアーモンドチョコを一粒ずつあげた。




『私の本命チョコレートです〜♡』




『あははは。翔、今年もうチョコ一個貰っちゃった』




『雄大さん。しかも本命っすよ』




二人は笑いながら、チョコを口に入れた。




そうか、来週はバレンタインだな。




『奈々ちゃんはチョコないの〜??』




雄大さんに突然話を振られて、びっくりした。




『ら、来週準備しておきます!』




『いやいや、ごめん。そんな、本気に取らないでよ〜』




逆に雄大さんを焦らせてしまった。




『いや、今日の運転のお礼に準備しておきます。期待しといてくださいね!』




『あははは。ありがとう。期待しておくね。』




『俺も頂戴よ〜』




翔君が横槍を入れてきた。




『翔君は考えときます。』




『そっそんな〜』




車内は爆笑に包まれた。




そうこうしている間に、車は目的地の漁港へ到着した。














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