Des gouttes de larmes 〜涙の雫〜
『みんな到着したよ〜』




『わーありがとうございます。運転ご苦労様でした。』




『全然いいって〜牡蠣一杯食べようね』




車から降りると目の前には海が広がっていた。



うわっ。やっぱり寒い。




でも、潮の匂いが心地よく感じた。




『冬の海もいいものでしょ?俺海大好きなんだよね。』




雄大さんが海を眺めながら、そっと呟く。





『私も海大好きです。休みとお金があったらハワイなんかいきたいです』




『いやぁハワイいいよね〜俺ハワイで暮らすのが夢なんだ。』




雄大さんの密かな夢を聞くことができた。




『雄大さん〜奈々ちゃん〜牡蠣小屋こっちだよ〜』




『悪い!今行く!さっ行こっか奈々ちゃん』




雄大さんと小走りで牡蠣小屋へと向かった。




『うわ〜人一杯です〜』




里菜が驚きながら声を漏らす。




私達は運良く直ぐ座る事ができたが、牡蠣小屋は人でごった返していた。



香ばしい匂いが辺りに充満していた。




お昼前だというのに、外には着々と行列が出来始めていた。





『ふぅ〜雄大さん危なかったっすね。もう少し遅かったら、あの行列ですよ?』




『お前は日頃の行いが悪いから、奈々ちゃんと里菜ちゃんの日頃の行いに感謝だろ』




『もう、雄大さん冗談きついっすよ』




『嘘嘘。さぁ注文しよ』




私の隣には雄大さん。



目の前には翔君。




その横には里菜。




4人で炭を囲みながら、牡蠣を楽しむ。




はぁ〜。とても充実した休日だな。
と感傷に浸っていると、牡蠣が運ばれてきた。



『うわ〜この牡蠣おっきい』




里菜がはしゃいでいる。




『じゃあ乾杯しよっか?雄大さんすみません。ビールいただきます。』




『気にするな!みんな俺の分まで飲んでくれ』




『ありがとうございます。じゃあ乾杯!』




『乾杯!』



ぷはっ。美味すぎ。
昼間から飲む酒ほど美味いものはない。




『俺と翔で牡蠣の殻は開けるから、奈々ちゃんと里菜ちゃんは開けたやつどんどん食べてね』




はぁ〜。雄大さんなんて優しいの。
遠慮なく食べさせていただきます。




『奈々先輩〜調味料!調味料!』




『あっそうだ。適当に持ってきてますので、使ってください』



『サルサソースかぁ〜。考えた事なかったな。使ってみよ』




雄大さんが物珍しそうに瓶を手に取る。




『なんとなく合うかな〜と思って』




『いや、合うと思うよ絶対。サルサソースにチーズトッピングしてもいいかも』




やばい。考えただけでヨダレ出てきた。




『ここらへんとか、もう良さそうじゃないですか?』




翔君が指を指して言う。




『そうだな。開けてみよう。
オッケーっぽい。さぁ奈々ちゃんも里菜ちゃんも食べて食べて』




雄大さんはそう言うと私の前に大きな牡蠣を置いてくれた。




ふーふーしながら、牡蠣を頬張る。



うわっ。マジで美味い。街の居酒屋で食べるやつと全然違う。濃厚な味だ。




『超美味しいです〜♡』




里菜もテンションが上がっている。




『喜んでもらえたならよかった。よし!翔、どんどんあけるぞ』




雄大さんはそう言うと、慣れた手つきで殻を開けていった。




私は開けてもらった牡蠣を食べて幸せな気分だった。
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