ヘタレな貴方と強がりな私



「いらっしゃいませー」と
店員さんの声が響くたびに
拓也が来たのかとビクッとするが
振り返り確かめる度胸はない


腕時計を確認すると約束の5分前
もう来るだろうと
冷めたコーヒーを一口飲む



「優奈」



待ち人、来た
振り返ると、スーツ姿の拓也だ


懐かしい、
毎日、スーツを着てネクタイ締めて
「行ってらっしゃい」と
見送りをしていた日々

しかも、そのネクタイ
私が独身時代にプレゼントをしたものだ
自分には似合わないと言っていた赤を基調としたネクタイ
チャレンジしてみたら?とプレゼントをした
でも、私が知る限りでは
そのネクタイを着けて出社することはなかった

< 103 / 397 >

この作品をシェア

pagetop