ヘタレな貴方と強がりな私

「…兄貴は、結婚してなかった」


その言葉に息を飲む
一番気になって
一番聞きたかった事だ


『…お兄さんに聞いたの？』


「…兄貴が謝ってくれたんだ」


謝る、という言葉に疑問が生まれたが
すぐに説明をしてくれた


お兄さんは確かに嘘は言ってなく
東雲紗枝の事は友達だった
自分に好意を持っている事は知っていたが
東雲紗枝の性格を知っているから
特定の相手には相応しくないとわかっていた

だが、自分に好意を持っていたはずが
気がつけば別の男へと向けられていることに気がつき、初めはホッとした気持ちもあった


「…その相手が俺だとわかった瞬間、…嫉妬が生まれたってさ。俺に負けたのかと思ったらしい。弟に負けたなんて、プライドが許さなかったみたいだ」