ヘタレな貴方と強がりな私


お兄さんは
自分の荷物をまとめたら
すぐに帰って欲しい、と
東雲紗枝に告げたという

数日後
何も言わず東雲紗枝は帰国
お兄さんが家に帰ると
部屋は真っ暗で
東雲紗枝の荷物は一つもなかったという


『…何も?手紙とかも?』


不自由なく暮らせて
5年もお世話になったのに
ありがとう、もないのか

私ならせめて
手紙に気持ちを書き
今までありがとう、くらいは書く


拓也と別れる時もそうだった
私にとって奈津はかけがえのないもの
それを与えてくれたのは
拓也がいたからだ

いくら最低な男でも
それくらいは伝えた

まぁ…、あの時の拓也に
そんなことを言っても無駄だったけど

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