ヘタレな貴方と強がりな私

暫くするとアナウンスが流れ
電車が動き出した


女性と話している彼とは
話すことはなかった
やっと駅に着き、流れに合わせて進む
腕時計を見れば
少し急いだ方がいい

鞄を肩に掛け
駅を出たら走ろうと決めた



「染川さん」


呼ばれて振り返れば
いつの間にか後ろにいた彼


「またね、仕事頑張って」


そう片手をあげている
もちろん彼の横には
さっきの女性もいて
私を見ている、というより
睨んでいるに近い



『小鳥遊くんも、頑張って』



それだけを言い
会社へと走り出した

変なことに巻き込まれたくない
それが本音だ
あんな思いは、二度と御免だ


< 4 / 397 >

この作品をシェア

pagetop