ヘタレな貴方と強がりな私


「おかあさん…ごめんなさい」


家に着いて、夕食の準備をしていると
今にも泣きそうな顔で
奈津がキッチンへと入って来た


何事かと思い
奈津と視線を合わせるためにしゃがみこむ


『どうしたの?何か悪いことしたの?』


「…なつ、きょう、いいこじゃなかった?」


今日というのはケーキバイキングのことだろう
そんなことはない
莉子にもきちんと挨拶もできた
服も汚さず、私と莉子が話している間は
静かにケーキを食べていた


『ううん。いい子だったよ?』


「ほんとうに?…でも、おかあさん、ずっとプンプンしてる」


奈津に言われて、気がついた
あのトイレでの話を聞いてから
奈津と話をしていなかった

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