僕が彼女を殺すまで
第1章
「ねえ、生きてる?」
彼女は唐突にそう言った。
視線こそ向けられていないものの、僕と彼女しかいないこの教室で、それが誰に向けられた言葉であるかは明らかだった。
「死んでる」
僕の答えが可笑しかったのか、彼女は声を上げて笑った。
僕は大喜利をしたつもりなどないのだが。
何が楽しくて、こんな真夏日に、母校の空き教室の掃除をしなくてはならないのか。
暑さと怠さで、本当に死んでしまいそうだ。