愛していました
「同じクラスの黒田くん」



「どこに住んでるんだ?」



「わからない」



「お前たちは付き合ってるのか?」



私はうなづいた



「病院の先生には、手術するなら早めにしないと青海の体に負担がかかるって…言われたわ」



母はそう言い泣いていた



なぜだろう

両親が泣いているのに
私のせいで泣いているのに



罪悪感さえ感じなかった
悔しさも、嬉しさがほんの少しあるくらいだ


むしろあの頃の私には


なんで泣いているの?
どうして?嬉しくないの?

他の子より少し早くなっちゃっただけだよ



こんなとこだろう





私が知らぬ間に父は晴哉に会ったみたいだ


怒鳴りつけただろうか

説得してくれと言われたのだろうか

別れてくれと言われたのだろうか





「青海ちょっといい?」



「うん」



「妊娠してるんだって?」



「なんで…」



「青海のお父さんが」



「そう。会ったんだ」



「それで、別れてほしい
その子も産まないでくれ」



「お父さんに言われたの?」



「僕も産むことは望んでない
まだ早いと思うんだ」



「産まないから、晴哉と別れたくない」



「これは僕の責任だ、だからごめんな」



「でも…」



「別れよう」




「分かった…」





それから、家に戻って次の日手術をした



私は一つの命を奪った

罪人だ



あの子の思いも背負って生きていく



そう思ってた





晴哉ともあれから話してない
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