泣かないで、楓
第二話:凍てつくヒーロー
 こうして、僕の暑い夏は過ぎていった。うだる様な夏の現場をこなし、秋が過ぎ、冬を迎えた。どの季節でも、汗だくで塩を吹いた。それは、何も変わらなかった。ただ一つだけ、変わった事がある。

 あの花火を一緒に見た以来、楓が僕の事を避ける様になった。ちゃんと話をしていないので、僕の思い違いかもしれない。けど、僕の方から楓に話しかけても、どこか態度に冷たさを感じる。

 特に吉伸先輩が来ると、楓はすぐ、その場を離れる。それは勘違いではないと思う。もしかして二人は、もう付き合ってるのかな。そうだったら、ちゃんと言ってくれればいいのに。
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