危険地帯
「なあ、センパイ」
深月の薄い黒の瞳が、龍司という人を捕まえる。
元黒龍の人は、龍司という人以外に、誰も立ち上がれない様子だった。
「ほら、喧嘩しようぜ。大サービスで、三人が相手になるぜ?」
「っ、」
龍司という人の表情が陰っていく。
確かに見えていた“勝利”が偽物だと知った龍司という人の心は、廃ビルのガラスのように壊れていた。
「“敗者は捨てる”――まだその敗者が決まってねぇんだからさ、さっさと再開しようぜ」
三人の禍々しい殺気が、元黒龍に襲いかかる。
三人とも傷を負って血を流しているけれど、それさえも嘘だと思ってしまうくらい、“いつも通り”だった。
龍司という人は三人に圧倒され、持っていた鉄パイプを床に落とした。
それはつまり、負けを認めたということ。
この喧嘩……いや、このゲームは現黒龍の勝利という結果で幕を閉じた。