危険地帯
まだ明るい空は、深月の髪色のアッシュゴールドと律の髪色のオレンジを、キラキラと輝かせていた。
普段見慣れない“光”から視線を逸らすと、足元から伸びていく影が見えた。
輝きを避けて、気づく。
だんだんと“黒”に染まっていっていることに。
もう、元には戻れない。
黒龍のそばにいることに、慣れてきてしまった。
このままではダメだと思っても、どうすることもできない。
時間が巻き戻ることは、絶対にありえないのだから。
すると突然、――グイッと深月に腕を強く引かれた。
え?、とびっくりしたのは一瞬だけ。
後ろからバイクが数台、私のすぐ横を通り過ぎていった。
「朝からボーッとしすぎなんだよ」
「深月、ありがと」
深月が私の腕を引っ張った理由がわかってお礼を言うと、深月にデコピンをされた。
うっ、結構痛い……。