危険地帯
「でも、律は違う」
私みたいに最低なことはしてない。
律は、嫌いな人に対して笑顔を向けていた。
それだけで、十分すごくて、優しいよ。
「ねぇ、律。本当は、独りになりたくないんでしょ?」
「……っ」
女を追い払わないんじゃない。
追い払えないんでしょ?
孤独を知った者にならわかる、独りの苦しみ。
捨てられることへの恐怖。
……お願い。
嘘なんかつかないで。
嘘や偽りで自分の心を固めないで。
溜め込んだ本心も弱さも、吐き出していいから。
私が全部受け止めるから。