危険地帯
もう一人の羽留は、それをわかって、この罰にしたとしたら。
恐ろしい奴、だな。
両手首を切り落とされた方が何倍もいい。
そんなしょうもないことを、考えてしまう。
こんな気持ちが、まだ俺にもあったことに驚いた。
黒龍の総長である俺が、たった一人の女に取り乱しているなんてな。
……ハッ、笑っちまうぜ。
「じゃあ、もし、もしも」
まだ俺の罰の内容を受け入れられない律。
司は、口では他人ごとのように冷静だが、顔は正直で、俺と同じく歪んでいた。
「羽留が自分の意思で、罰を拒んだら?」
「っ、」
「そうしたら、どうするのさ」
律の真っ直ぐな瞳に吸い寄せられるように、顔を上げた。