危険地帯
「ケリをつけなきゃ、いけねぇだろうが」
俺達と羽留とでは、違うんだ。
住む世界も、染まる色も、心にある信念も。
そう、何もかも。
病院に向かう足が、重くなっていく。
羽留は今、何を考えているのだろうか。
「……全部、なくなっちまえ」
小さな呟きは、雨音にかき消されてしまった。
今日の雨の冷たさに、俺の目は鋭くなっていく。
羽留と過ごした日々を忘れられたら、こんな感情を感じずに済む。
消去して、それでも無理なら。
胸の内側に、忍ばせてしまおう。
“あの日”と同じように。