危険地帯
切ってしまえば、簡単に途絶えてしまう。
俺達と羽留は、そんな不透明な関係だった。
そのことを忘れてしまったのは、いつだっただろう。
いつの間にか、羽留がそばにいることが当たり前になっていた。
“あの日”、子犬を見捨てたみたいに。
羽留を解放して、自由にしてやるんだ。
ただ、羽留と会わなくなるだけ。別れるだけ。
それだけのことじゃねぇか。
なのに、どうして。
「チッ」
たまらなくなって、舌打ちをする。
どうして、なんだ……っ。
どうして、こんなにも心が揺れるんだ。
葛藤してる場合じゃ、ねぇよ。
俺達が、羽留を闇に引きずり込ませたんだ。
俺達と会ってしまったことが、悪いんだ。