危険地帯



いつからか私のことを怒らなくなったのも、再婚した後に報告してきたのも。


全部、私の存在はどうでもいいと、思っていたから。



「お父さんも、お母さんと同じなんでしょ……?」



私に相談することなく再婚して、新しい家族ができて、私が家に帰らなくなって。


お父さんは心底嬉しかったんだろうね。



『――あんたなんて、』



お父さんもお母さんのように、私が生きている意味を否定したいんでしょ?


幸せを壊した私が、邪魔なんでしょ?



……もう、いいよ。


さっきのお父さんの言葉で、よくわかった。



忙しそうに仕事をするお父さん。


毎日家事に追われる私。


家に帰ってきたお父さんと、当たり障りの無い会話をして。


本心を隠して、作り笑顔を向けていた。



そんな日常は、苦しいばかりの日々は、もううんざりだ。




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