危険地帯
お母さんとお父さんも、もしかしたらわかり合おうとして喧嘩をしていたのかもしれない。
受け入れようとしなかったのは、私だ。
私は塞ぎ込んで、何もわかろうとしなかった。
「司、あと何分だ?」
「あと、30秒だ」
深月が尋ねると、司は手首につけている時計を見て、そう答えた。
三人の顔つきは、どう見ても、殺られてるだけの人が見せる表情ではなかった。
「何を企んでやがる」
「さあね~」
ナイフを持っていない手でドクロのピアスをいじる忍者は、若干動揺していた。
律はゆるい口調でとぼけたことを言って、ベーっと舌を出す。
「なあ、羽留。闘ってもいいか?」
また、あの音が耳の奥で流れる。
――カチ、カチ。
幻聴が、聞こえる。
時計の針が、動く音。