危険地帯





『今、黒龍に強い奴があんまいなくてな。それでお前をスカウトに来たんだよ。なあ、世界をぶち壊そうぜ?』




最近の族は、正義だの誰かの為だの、そんなことばかり言っている。


僕たちはあくまで不良で、悪さを楽しむ奴らなのに。



でも、深月の言葉にハッとした。


守るのではなく、壊してしまえ。


そんな考えに、魅力を感じた。




『俺達はトップを目指してるんじゃない。全ては、自分の為。キット、お前も暴れ足りねぇだろ?』




差し出された手。


まるで、悪魔と契約を交わすみたいだ。




『……いいね。楽しそうだから、入ってあげるよ』




僕は深月の手に自分の手を重ねた。手を握って、契約完了。



正義も善も何もかも、覆せるくらい暴れよう。


規則や常識なんて要らない。


誰もが心を震わせるくらいの“危険な罠”を仕掛けてあげる。



< 99 / 497 >

この作品をシェア

pagetop