危険地帯
『今、黒龍に強い奴があんまいなくてな。それでお前をスカウトに来たんだよ。なあ、世界をぶち壊そうぜ?』
最近の族は、正義だの誰かの為だの、そんなことばかり言っている。
僕たちはあくまで不良で、悪さを楽しむ奴らなのに。
でも、深月の言葉にハッとした。
守るのではなく、壊してしまえ。
そんな考えに、魅力を感じた。
『俺達はトップを目指してるんじゃない。全ては、自分の為。キット、お前も暴れ足りねぇだろ?』
差し出された手。
まるで、悪魔と契約を交わすみたいだ。
『……いいね。楽しそうだから、入ってあげるよ』
僕は深月の手に自分の手を重ねた。手を握って、契約完了。
正義も善も何もかも、覆せるくらい暴れよう。
規則や常識なんて要らない。
誰もが心を震わせるくらいの“危険な罠”を仕掛けてあげる。