世界が終わる音を聴いた

Day 2*信じることからすべては始まる


その日の夜は、やはり疲れていたのだろう。
深い、深い眠りについたようで、朝目が覚めたときは、とても頭がスッキリとしていた。
朝の日の光さえ心地好い。

「目覚ましより先に起きたの、久々」

呟いて時計を見ると、6:25。
目覚ましの設定は6:30。
何となく優越感を覚えると、そのまま、目覚ましの設定をオフにして、ぐんと伸びをした。
パジャマのままで洗面所に行き、顔を洗う。
鏡の中の自分は、ここ最近では一番活力に溢れているように見える。
やっぱり、人間、睡眠は大切なようだ。

自室にもどってささっと着替えを済ませて、化粧をする。もともとそんなに化粧っ気の無い私がするメイクは至ってシンプルで、本当に“ナチュラル”メイクだ。
10分あれば完全に終わってる。
世の中の女性が作り出す、作り込まれた“ナチュラル”メイクにはほど遠い。

自分の素顔なんて、そう大して変わらない、そんなことを思っては“女らしいこと”から逃げ出してきた。
その結果は見事なもので、見た目からしたら私服はとてもシンプルな格好でまとまっているし、中身だって大雑把。
料理や裁縫なんて高校の家庭科レベルで止まってる。
全くもって不器用というわけではないから、できないレベルじゃないけど、作らないからレパートリーは増えない、そんな感じ。

実家暮らしで甘えている。


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