世界が終わる音を聴いた

食後のコーヒーを飲みながら、未だ私の前にいる俊平さんと話をしてる。
いや、正確にはお客さんが出入りしたりすると席を立ち接客に向かうのだけれど、最終的にまたここに落ち着いている俊平さんと、だけれど。
まぁ細かいことは置いておいて、今日のことについての話をしている。

「じゃあ今日はお休みだってことだし、17時半からのステージってどう?それくらいの時間は最近は歌ってないし、楽しんでくれる人も多いと思う。20時以降になると最近はシキ目当てで来る人も多いんだ。……復帰直後となると、少し嫌だろう?」
「俊平さんって、とことん人のことお見通しって感じですよね」
「よく言われるよ」
「……それでOKです。歌おうと思ってるのは5曲なので、まぁMCなんて入れるつもりもないですし、セッティング含めて1時間もあれば十分すぎるくらいですし」
「うん。音出しとかしとく?15時で一旦閉めるし、再開の17時までは時間使えるよ」
「ありがとうございます。じゃあ、この後で少しだけ時間ください」
「了解。それと……、あ、ちょっとまってて。ありがとうございます」

俊平さんは話をしながらもきちんと他のお客さんへも目を配っていて、お会計へ向かうお客さんのもとへと駆け寄る。
店内はいつの間にか私だけになっていて、時計を確認するとなるほど、もう14時50分を回ったところだった。


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