世界が終わる音を聴いた

それからの俺の日々は永い永いものだった。
いや、これから先もまだずっと終わりなく永いのだが。

人が生きると言うことは、必ずその先に“死”が待ち受けている。
その死というのも様々で、つまりそれは生き方に左右されるようだった。
死に様とは、生き様だ。

世界各地で、もっと言うならば、宇宙のそこかしこで今日も命は生まれている。
そして同時に、消え逝く命もある。
リストがあったりだとか、誰かに聞くだとかそう言うことではなく、俺は命の生まれたことを感知する。
その命の消える時期も、同じく。
表現するならば、送るべき魂の存在に、この体が命に共鳴する、というのか。
辿るべき道の途中で、自らの命を放棄した者は、生まれ変わりの輪に戻ることができず、変わりに、魂を送る者となる。
ある意味で“業”なのかもしれない。

永い時間を過ごすなかで、様々な場所を点々としていた。
けれど不思議なもので、ルナの魂を見つけることはできなかった。
あれからもうどれだけの時間が流れたか知らない。
日々同じことを繰り返しているようでいて、そうではないことを知る。
執着が強く、簡単にはいかないこともあった。
送り方は様々ある。
けれど共通して必要なのは、送るべき魂への敬意と親愛だ。
自らのエゴを押し付けるようなやり方では、むき出しの魂には敏感に感じ取られてしまう。
数えることなどできない、何千、何万、何億の命を巡らせた。
いくつもの同じ魂が生まれ、死に、そうしてまた生まれ……と、繰り返していくのも何度も、何度だって見てきた。
この巡りの中のどこかに、君もいるはず。
だから俺は決めたのだ。
どれだけの時間をかけても、君を必ず見つけ出す。
俺はもう、二度と君と共に生きられないから。

もう一度、君に逢いたい。



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