世界が終わる音を聴いた

一昨日からは昼夜が逆転するように変な時間に寝ていたからか、昨日の夜はあまり寝付きが良くなかった。
それにも関わらず、眠りが浅かったのか体はルーティーンから逸脱して日の出と共に目が覚めた。
今日も休日、もっと寝ていられたのに。
体の調子はすこぶるいい、というわけでもなければ、すこぶる悪いと言うわけでもない。
ただ多少、寝不足なのか頭はぼんやりとしていた。
起きるべきか、二度寝するべきか一瞬悩んでそのまま体を起こした。
ベッドを軽く整えて楽な部屋着に着替える。
さっきまでのパジャマとどこが違うのかと言われると、気分の問題としか言えないような気の抜けた格好。
そのまま、部屋を片付け始めた。

普段から散らかしているわけでもないから、片付けらしい片付けもないけれど。
故人は物を言えない。
遺していくものに、あれはどうして欲しい、これはこうして欲しいなんて言う術は、生きているうちに言う他ない。
触って欲しくないものはそれほどあるわけではないけれど、全く無いわけでもなくて、微かな青春の名残の始末を着けていく。
好きだったアーティストのライブの半券、友達とお揃いで買ったストラップ、可愛さに一目惚れしたヌイグルミ。
人から見ればガラクタかもしれないそれらは私にとっては宝物だった。
持ち主不在の不要な産物になってしまうのか、と思うとちょっと切なくて、片づけるスピードが遅くなる。
一気にごみが増えてしまうとそれも目立ってしまうので、目立たない程度に纏めておく。
あんまり綺麗にしておくと、きっと自殺に間違われてしまう。
そんなことを考えられる自分に呆れた。
まだ、自分の死をどこか他人事のようにとらえている。
受け入れているはずなのに、現実味がまるでない。
私は本当に、2日後に死んでしまうのだろうか?


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