大空へ向かって


「麗美…。ごめんな…。マジでごめんな…。」



栄助が麗美に ガバッと抱き付いた。


栄助の涙で 麗美の制服が濡れて行く。



栄助の辛さを、表していました…。




あの公園のベンチに座った。



「実は、俺の親父…。去年の今日、癌で死んだんだ…。」



麗美は言葉を失った。



栄助の衝撃の過去…。


辛いく…切なく…苦しく…重く…悲しい過去…。




栄助は 話続ける。



「俺、一人っ子だから…。親父が…母さんを守れって…。母さんを支えろって何度も言ってた…。」



「なのに、俺は…。チャラチャラばっかりして。親父の話を、まともに聞いたりしなかった。」



麗美にも、涙が流れる。



「親父が死んで、母さんと二人になって…。
俺、母さんを守れなくて、迷惑ばかりかけて…。どうすれば、良いのか…。」




初めて聞いた…。


栄助の過去…。



それは、重く、悲しい現実でした。


栄助の笑顔の裏には、辛い事実があった…。



栄助は どれだけ自分を責めただろう…。



どれだけ 後悔し、涙を流したのだろう。




普通の 温かい家庭で育った麗美は 自分は幸せ者だと実感し 栄助と涙を流した。



「いつもと、逆だね!!!!」


麗美は制服の袖で栄助の涙を拭く。



「栄助は、いつもお母さんの話をしてるよ??お母さんの事を、考えてるよ…??それだけで、十分だよ。栄助のお父さんも、そう言いたかったんだと思うよ…。」



「麗美…。ありがとな…。」


栄助は いつもより、優しく麗美の頭を撫でる。



栄助の傷を、綺麗に治すことは、出来ないかもしれない…。


でもね…。


その傷を、一生懸命癒す事は出来るよ…。


一緒に、背よって行くことだって、出来るよ…。




お互いの事を、よく分かり合えた。



大切な 大切な あなたの過去を麗美は、知ることが出来ました…。



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