柊くんは私のことが好きらしい
「もう1回! しようっ」
柊くんたちに、というより横居さんに向かって言った形になってしまった。ハア?って怪訝な顔をされましたけど、あとには引けないっていうか引くもんか!
「……絶対負けないし」
おおう。マイナス1℃の圧力……。でも、もう1回試合、してくれるんだ。
「お、同じチームに、」
「はあ!? 高遠ちゃんが同じチームにいたら、実力の半分も出せないじゃんっ」
どんだけ全力で私を潰そうとしてるんだこの人!!
衝撃を受けた私を置いて、「次は勝つよ!」とチームメイトを招集する横居さんのタフネスと言ったら……見習うべきかも。
「次は負けるかもね」
ひょこりと顔を覗いてきた柊くんの顔がほころんでいる。
すぐそばにいたんだから、ひとつくらい反応してくると予想はしていたけれど。そんなに嬉しそうにされると、調子にのってしまいそう。
「勝つもん」
「お。言ったね」
「……柊くんこそ、3連続でスタミナ切れなんて言わせないからね」
「あ、クソ。気にしてたことをっ」
バスケ部のスタミナ見せてやる、と笑った柊くんに胸を高鳴らせながら、自陣に戻る。
空は快晴。あいにく夕方から雨らしいけれど、今日はちゃんと傘を持ってるか聞こうと思う。
諦めないなんて、私だって同じなんだから。