金魚鉢には金魚がいない
 どんな家族にでも、繋がりきれないときもある。姉のいう平凡と、私が思う非凡にはどこか隔たりがあって、噛み合わない。
 ねぇゆかり、あなたの望んだ平凡じゃない世界は、どんなものでしたか。 
 今あなたが出て行ったこの空間は、一人の不在に戸惑っています。
全てを理解するにも、いかんせん私は幼くて、両親は年をとりすぎている。今になって思うのは、平凡に生きる難しさ。あのころには二度と戻れないという、確かな壁。
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