さいごの想い
少し走り出したところで勇人が後ろを振り返った




「何?ちゃんと前見てよお」





風とかの音で声がかき消されるから大声で言った





「お前、ちゃんとつかまれよー。落ちそう」






そう言って私の手を自分の腰に回す





嬉しいかもっ




カップルみたい♪





私はキュッと強くつかまった







楽しい時間は早く過ぎて家の前に来てしまった






私は降りて、ヘルメットを勇人に返す






「ありがとう」





「お前髪クシャクシャ」





そう言ったかと思うと手が私の頭に伸びてきて






クシャクシャ撫でられた





「や、やめてよ。余計乱れるぅ」


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