mariage~酒と肴、それから恋~《5》
私の趣味は、梅酒作り。

親戚に梅を栽培してる人がいて、毎年頂く梅を使って祖母や母が梅酒を作っていた。

子どものときから作るのを手伝ってきたから、作り方は自然と覚えた。
飲ませてもらえなかったけど。


大学を出て就職を機に一人暮らしを初めた年からは、実家から梅を分けて貰って、梅酒を一人で作るようになった。


元々、梅酒が好きだからってこともあるけど、自分で作るのに意味がある。

だって、自分で漬けて飲むなんて、大人のスタートって感じで、一人で初めて作ったときはワクワクしたなぁ。


年に一回、梅の収穫時期(5、6月頃)に漬けて、出来上がりが約1年後。

手間かかるけど簡単だし、飲むときの喜びもひとしおで、1年が待ち遠しくなる。


初めて作った梅酒からこの成海さんに毎年おすそ分けして、今年で10本目。

梅酒作りも手慣れたものだ。


車に積んでた梅酒が入った大きなビンを成海さんが持ち上げ、顔の前にかざした。

「良い色だ。澄んだ琥珀色」

大切なものを見つめるように目を細める。

「今年も美味そうに出来上がってるなぁ~。月子は天才だな」

感嘆するその澄んだ瞳を私は見つめた。


一年。会いたかった。
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