シンデレラに憧れて


総務に行って中西さんを探し
『お勉強会に参加したい』と伝えたら、すごく喜んでくれた。
『他の雑用も手伝う』ってついでに言うと、もっともっと喜んでくれた。

喜ばれると嬉しいものだ。

第一回目の文学は
そこそこ20人ほど人が集まった。

お勉強会に参加する内容で、弘樹からひとつ注意を受ける。

『会話に参加してはいけない。お勉強会は話を聞く場所』って言われた。

だから
大人しくしようとしていたけれど

第一回目って事で
講師の佐々木課長も緊張していて流れが良くない。

「芥川龍之介で好きな作品は何ですか?」
そうみんなに聞くけれど
誰も答えなかった。

すると佐々木課長はぐるりと辺りを見渡して、私をジッと見つめる。

「室岡さんはどうかな?」
静かに聞かれてしまった。

弘樹には大人しくしてろって言われてるけど
先生に聞かれたら
答えなきゃ失礼だよね。

まぁ学生の頃は答えた事なかったけど
大人だもんね。
前向きな私を見せなきゃ。

「『吾輩は猫である』です」
手を上げて大きな声を上げたら

佐々木課長と周りは爆笑した。

「室岡さんのおかげで僕の緊張も緩み、場が和みました。ありがとう」

そして佐々木課長はホワイトボードに何か書き出し
会議室はちょっといい雰囲気になる。

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