恋愛セラピー
「もー、やだ」
ロッカーに抱きついてため息をつく。意気地のない、ダメな自分に嫌気が差す。
もういっそ、すべてを知ったすっきりしてしまったほうがいいんじゃないかなと思う。
傷つくと思うけど……とんでもなくトラウマレベルで傷つくと思うけど、それでも今のこの状況でいるよりずっといい気がしてきた。
そうしたらダメダメな自分を受け入れて、前に進めるかもしれない。
今日、家に帰ったら理人くんに連絡してみようと心に決める。それから重い身体を引きずって岩田先生が待っているだろう、病院の裏口に向かう。
それにしても、辛い。全身がむくんでいるんだろうな。
もう、理人くんのあの手が恋しくてたまらない。あの、マイナスイオンが出てるとしか思えない手に、癒してもらいたい。
……最後にお金払うから、トリートメントしてって言ったら理人くんあきれるかな。
そんなことを考えながら病院の裏口を出ると、私服に着替えた岩田先生がすでに待っていた。
「お疲れ様です。すみません、お待たせしました」
声をかけて近づくと、先生はホッとしたように微笑んだ。
「お疲れ。疲れてるところ、悪い。……本当に疲れた顔をしてるけど、大丈夫か?」
岩田先生に心配そうに聞かれて、苦笑いをする。そんなに疲れた顔してるかな、してるか。だってすごくしんどいもん。