恋愛セラピー

片づけと雑務を終えて更衣室に入ると、どっと疲れが出て椅子に座り込む。身体が、鉛のように重い。


前はそれが普通だったのに、今はその感覚を我慢することが辛くてたまらない。理人くんに甘やかされていた身体は、ずいぶんとわがままになってしまったようだ。


理人くんと会わなくなってから、もうすぐ三週間。私の身体は、早くも限界を迎えていた。


新しいサロンを探そうとも思った。でも、それさえ億劫で、なにより私は、やっぱり理人くんに癒してほしいんだ。


はあっとため息をついて、岩田先生と約束していたことを思い出す。疲れきった身体を引きずって、ノロノロと着替え始める。


ジーパン、きつい。パンプス、履きたくない。辛くて、情けなくて泣きそうになってしまう。


携帯を見ると、理人くんからの着信が残っている。本当に目に涙が滲んできて、慌てて目をこする。


仕事が落ち着いたのか、理人くんからは何日かおきに電話がかかってくる。私はいまだに覚悟が決まらなくて、その電話に出れずにいる。


時々届くメールには、電話に出ないことへの非難は一切なくて、ただ『会いたい』とだけ書かれている。


それに返信することもできなくて、だけど会いたくてたまらなくて……もうどうしようもない。


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