恋愛セラピー

理人くん、早く戻ってこないかな……と、眠い目をこすりながらしばらくぼーっとしていると、理人くんが戻ってきた。


「お待たせ、すごく眠そうだね。あ、ちょっ、皐月さん?」


ベッドの上に上がってきた、ポカポカの湯たんぽみたいな理人くんに、我慢できずにぎゅうっと抱きつく。そうすると、すぐに睡魔が襲ってきた。


だけど、もうちょっとだけ理人くんを感じていたい。


「ねえ、理人くん。ちょっとだけ、レッスンして」


「え、レッスン? おかしいな、今日の精油に催淫効果はないはずなんだけど。皐月さん、かわいすぎ。じゃあ、おさらいね。スメルキスは? どうやるんだっけ?」


理人くんの首に手を回して、私の部屋で彼がしてくれたみたいに鼻を触れ合わせる。


「そうそう。次はライトキス」


吐息が肌を撫でて、それだけで心拍数があがる。間近でしばらくのあいだ、理人くんの瞳を見つめてから、額と頬にそっと唇を押し付ける。


「正解、プレッシャーキスは?」


頬に手を伸ばして、唇にキスをすると、理人くんが私のことを引き寄せてベッドに倒れこんだ。


「はあ、やばい。こんなふうに皐月さんにキスしてもらえるなんて、幸せすぎてどうにかなりそう」


理人くんは満足そうだけど、私はまだ物足りない。もっとキスしたい。


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