恋愛セラピー
「もっと……」
目だけで見上げて続きをねだると、理人くんの顔が真っ赤に染まる。
「かわいすぎなんだけど。じゃあ……もうちょっと、ね。キスする場所でも意味が違うんだけど、それはまた今度ね」
唇を重ねた理人くんが、その唇を少しずらして私の下唇にキスをする。
「これがスライドキスね。これはスウィングキス」
「んっ……」
唇を甘噛みした理人くんが、軽く顔を左右に振る。そんなキスは初めてで、その感覚にゾクリとする。
「それから、ニプルキス」
「……っあ」
唇を舌でなぞられて、身体が震える。たまらなくなって理人くんの服を掴んで、自分から理人くんにキスをした。
そうするとぎゅうっと抱きしめてくれて、その腕にすごくホッとする。ホッとしたら、我慢していた睡魔が一気に迫ってきた。あ、もう限界かも。
「皐月さん、そんなことされると……我慢できなくなるんだけど。皐月さんの全部が欲しくなる」
「ん……理人くんなら、いいよ」
気恥ずかしさはあるけど、本気で理人くんなら構わないと思っているから、そう口にする。
だけど眠さが限界にきていて、もう瞼が開かない。だって理人くんの身体、ポカポカしててすごく気持ちいいんだもん。
「え、皐月さんそれってさ……って、寝てるし。そこまで言っておいて寝落ちとか、マジで生殺しなんだけど」
意識を手放す瞬間にそんな声が聞こえてきて、心の中でごめん、と謝りながら私は深い眠りについた。
「かわいい寝顔。ずっと耐えてたのに、恋人になってまで……。本当、拷問だよ」
理人くんのついたため息が、私の髪を揺らした。