恋愛セラピー

「もっと……」


目だけで見上げて続きをねだると、理人くんの顔が真っ赤に染まる。


「かわいすぎなんだけど。じゃあ……もうちょっと、ね。キスする場所でも意味が違うんだけど、それはまた今度ね」


唇を重ねた理人くんが、その唇を少しずらして私の下唇にキスをする。


「これがスライドキスね。これはスウィングキス」


「んっ……」


唇を甘噛みした理人くんが、軽く顔を左右に振る。そんなキスは初めてで、その感覚にゾクリとする。


「それから、ニプルキス」


「……っあ」


唇を舌でなぞられて、身体が震える。たまらなくなって理人くんの服を掴んで、自分から理人くんにキスをした。


そうするとぎゅうっと抱きしめてくれて、その腕にすごくホッとする。ホッとしたら、我慢していた睡魔が一気に迫ってきた。あ、もう限界かも。


「皐月さん、そんなことされると……我慢できなくなるんだけど。皐月さんの全部が欲しくなる」


「ん……理人くんなら、いいよ」


気恥ずかしさはあるけど、本気で理人くんなら構わないと思っているから、そう口にする。


だけど眠さが限界にきていて、もう瞼が開かない。だって理人くんの身体、ポカポカしててすごく気持ちいいんだもん。


「え、皐月さんそれってさ……って、寝てるし。そこまで言っておいて寝落ちとか、マジで生殺しなんだけど」


意識を手放す瞬間にそんな声が聞こえてきて、心の中でごめん、と謝りながら私は深い眠りについた。


「かわいい寝顔。ずっと耐えてたのに、恋人になってまで……。本当、拷問だよ」


理人くんのついたため息が、私の髪を揺らした。

< 134 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop