恋愛セラピー
言っている意味が分からなくて、首を傾げる私の頬に優しい手が触れる。大きくて温かいこの手に触れてもらうと、それだけですごく落ち着く。
理人くんを好きになったのも、この手がきっかけだったな。
「アロマの資格、皐月のためにとったって言ったよね。俺はね、理香にだって皐月の身体に触れられるのが嫌なんだ。皐月のためにできることは、全部俺がしたい。俺の夢は、皐月と結婚することだから」
その言葉の意味を理解するまでに、少し時間がかかった。また、なにか勘違いをしてしまったのかと理人くんの言葉を頭の中で反芻する。勘違い……じゃない気がする。
「え!? け、結婚!?」
そう口にするまでに、かなりのタイムラグがあった。だって、結婚て……。
驚きのあまりその顔を見上げると、理人くんはいたって真剣な顔で私を見ている。
「本気だよ。医者になったのも皐月のため……というより、俺が皐月の仕事を理解してあげたかったから。同業者のほうが仕事を理解してあげられるし、愚痴も聞いてあげられるでしょ? 皐月は真面目で責任感も強いから、毎日気を張ってて疲れちゃうだろうから。俺は、そんな皐月をまるっと全部包みこんであげたいの」
あ、なんだろう。すごく嬉しい。そんなことを考えてくれていたんだ。