恋愛セラピー
私も癒されるだけじゃなくて、理人のことを癒してあげたいな。
「今度、私にもマッサージの仕方教えてね。私も理人にマッサージしてあげたい」
私の言葉に目を見開いた理人が、満面の笑みで私をぎゅうっと抱きしめる。
「皐月は本当に優しい。俺のことも甘やかしてくれるもんね。あー、幸せ。あー、好き」
「もう一回、押してあげる?」
足に手を伸ばすと、理人はすごい勢いで私から足を引っ込める。びっくりするぐらい速かった。
「いや、いい。今度、ちゃんとやり方教えるから。もうちょっといちゃいちゃしてたかったけど。もう、出ようか」
逃げるように立ち上がった理人が、私のことを立たせてくれる。バスルームを出ると、いつの間にかもう一着買ってくれてかわいらしいワンピースを着せてくれた。
「んー、めっちゃ似合う。自分のセンスが怖いわ」
ピンクベージュに黒のレースをあしらった、シンプルなワンピースを着た私をうなずきながらしばらく眺めていた理人が、私に手を差し出してくる。
「さ、行きましょう、お姫様。素敵な婚約指輪を探しにね。昨日は、プロポーズだったけど、今日は皐月の誕生日だから。また特別な一日にするよ」
その手に自分の手を重ねて、穏やかな笑みを浮かべている理人を見上げて微笑む。
私だけの王子様との夢のような時間は、まだまだ終わらないみたいだ。