恋愛セラピー

「うん、私も。す……」


「ンヴゥー」


「好き」と言おうとした言葉は、どこから出ているのかと思うほどの低い唸り声にさえぎられた。


振り返ると唸り声の主は、小さな顔をしかめて真っ赤な顔をしていて、ちょっと心配になってしまう。


だけど、すぐにいつもの顔色に戻って、またスヤスヤと眠り始める。それを見てホッとするけど、生まれたばかりなのに色んな顔をするんだな。


ちょっと恥ずかしい思いをした、あの妊娠発覚の日からあっという間に月日は流れ……。


理人と再会してから二度目の夏を迎え、私は無事に元気な女の子を出産した。


妊娠中、つわりのひどかった私は、本当に理人に支えてもらった。


私が食べたいと言ったものは、どんなに面倒なものでも必ず作ってくれていた。


病院から点滴を処方してきてくれて、家でやってもらっていたし、つわりに効くアロマやハーブティーにもかなり助けられた。


出産が近くになってからは、理人に勧められて安産になるというハーブティーを毎日飲んでいたせいなのか、初じめての出産にしてはとても安産だった。


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