恋愛セラピー

「いった……」


目を開くと、そこには見慣れた天井。背中には冷たい床の感触。


どうやら、変な夢を見たせいでベッドから床に落ちたらしい。


変な夢って……あれ? どんな夢だったかな。床から落ちたせいで衝撃で、どんな夢を見ていたのかすっかり忘れてしまった。


なんか、すごく懐かしい夢だったような気がする。床に寝転がったまま夢の内容を思い出そうとしていると、携帯がけたたましく鳴り始めた。


アラームの音だ。起きる時間がきたらしい。起き上がって携帯のアラームを止めて、ふうっと息を吐く。


昨日の疲労がまだ身体に残っている気がして、それをなんとかしようとうーん、と身体を伸ばす。まあ、そんなことをしても疲れがとれるわけはない。なんとなくマシになる気がするだけだ。


今日は、とてつもなく大きな仕事が入っている。辛い一日になりそうだ。でも今日は、その大きな仕事を終えた後に癒しの時間が私を待っている。


月に一回のご褒美。辛い一日も、それがあると思うとがんばれる。


「よし! 今日もがんばろう!」


そう気合いをいれて、私は仕事に向かうべく準備を始めた。


それが私の、人生を激変させる一日の始まりだった。



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