恋愛セラピー

寝室を出ると、とてもいい匂いが食欲を刺激する。反射的にお腹を押さえた私を見て、キッチンに立っていた理人くんがニコッと微笑んだ。


「今日は大きなオペはないって言ってましたよね。簡単なもので申し訳ないんですが、サンドウィッチとスープと、美肌効果のあるハーブティーです。昨日は夕飯を食べずに寝ちゃったんで、お腹空いたでしょう」


そうだった、トリートメントしてもらってそのまま寝ちゃったんだ。たしかに、お腹は空いている。


しかし理人くん、あいかわらず料理もできるんだ。昔はお菓子作りは一緒にやっていたけど、普通の料理はできないとか言ってた。だけど、それもできるようになったんだ。ますます女子力が上がっているな。


短時間で作ったとは思えない、タマゴサンドと野菜たっぷりのスープはすごく美味しくて、あっという間に完食してしまう。


「おいしかった。ごちそうさまでした」


手を合わせて頭を下げてから、酸味のあるハーブティーを飲んでいると、理人くんは食器を下げながら満面の笑みを浮かべる。


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