恋愛セラピー

「なら、よかった。家まで送っていくので、ハーブティーが飲み終わったら準備してくださいね」


理人くんの言葉にコクリとうなずいて、洗面所を借りて着替えながら思う。


本当に至れり尽くせりなんだけど、なにこれ。


こんなにいろいろしてもらって、とても昨日のデートがお礼になっているとは思えないんだけど。


だって私、結局デート代だって一銭も出していないよ。


お会計も理人くんがサラッと済ませてくれて、いくら私が払うと言っても、笑っているだけで受け取ってくれなかった。


それでアロマトリートメントをしてもらって、抱きしめられて爆睡して、起きたら素敵な笑顔とおいしい朝食を食べさせてもらってって……。


どう考えても、お礼になっていないよね? 得しているの私だけじゃない?


「え、本当になに目的?」


そんな私の疑問に答えてくれる人は当然、誰もいない。


もちろん、本人にもそんなことを聞けるわけがなくて、私はひとりで悶々と頭を悩ませていた。


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