キミの笑顔が見たいだけ。


「ぷっ。どうしたんだよ、その傘。しかもお前、制服じゃねーし」


陽真は俺の手にある傘を見て苦笑した。


「濡れたから春田の弟に借りた」


「春田って、うちのクラスの?」


「そう」


「はぁ?お前、春田さんと仲良いのかよ?ひとりだけ抜けがけしやがって!服借りたってどういうことだよ!」


「なんだよ、抜けがけって」


なぜか俺を睨んで来る陽真をシレッと見やる。


「俺、今彼女いねーし。春田さんにアタックしてみようかと思ってたんだよ。家に行ったってことだろ?春田さんとどういう仲なんだよ」


「は?お前、もう別れたのかよ?」


後半の言葉をスルーして返す。


つーか、今日女に会いに行くとか言ってただろ。


「ついさっき振られた」


「あっそ。だからって、春田はやめとけ」



つーか、陽真と春田が付き合うって考えただけで何となくムカつく。


理由はわかんねーけど。


春田は色白でちっこくて目がクリクリしてて、小動物みたいな可愛い見た目をしてる。


飛び抜けて目立つわけではなく、控えめな印象。


雰囲気もフワフワしてて、どっか抜けてそうな感じ。


どことなく危なっかしいというか、放っておけないというか。


とにかく目が離せない。


< 12 / 222 >

この作品をシェア

pagetop