キミの笑顔が見たいだけ。


「好き、だよ」


ひしひし感じる視線と、早く答えろと言わんばかりのオーラに負けた。


恥ずかしいけど、ものすごく恥ずかしいけど……。


でも、好き。


「ははっ、真っ赤」


「……っ」


ムッと唇を尖らせてみる。


「かわいいっつってんだよ。スネるなって」


ほら、また。


イジワルに笑いながら、あたしの頭をガシガシって。


キミはいつだってあたしをドキドキさせる天才だ。


「菜都」


うつむいていると、今度は首を傾けて顔を覗き込まれた。


晶斗のその優しい眼差しがたまらなく好きで、どうしようもなく愛しくて。


「晶斗……好きだよ」


胸の奥から熱い気持ちが込み上げて、自分から晶斗の首に手を回した。


あたしからこんな風にするのは初めてで、緊張から体が震える。


「やべっ……マジかわいい」


そんなあたしの体を、晶斗は優しく包み込んでくれた。


「俺、マジでお前が好きだ」


「うん……」


あたしも。


こうやってくっついてたら、すごく安心する。


ドキドキして、苦しくて、でも心地良い。


顔を上げると、真剣な表情を浮かべる晶斗と目が合った。


照れくさそうにフッとゆるむ頬が好き。


力強くて男らしいその瞳が好き。


晶斗の全部がたまらなく好きだよ。


「ずっと一緒にいような」


「……うん」


たとえできないことだとわかっていても、今は……。


今だけはキミだけを想っていたい。


ずっとこうやってたいよ。


「俺……菜都のためならなんだってするから」


「あり、がとう……」


晶斗がくれた言葉はきっと本心で、でもきっと心のどこかで現実をわかってて。


晶斗の体が受け入れたくないって叫んでいるみたいに震えていた。


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