キミの笑顔が見たいだけ。


次の日。


ワイワイザワザワ賑やかな空港のロビーに、両親だけではなく、姉貴家族と兄貴家族、高垣一家が勢ぞろいしていた。


これから俺は、アメリカへ発つことになっている。


日本で理学療法士の国家試験に合格し、晴れて理学療法士になることができた。


だけど日本の資格では、アメリカで理学療法士として働くことはできない。


アメリカで働くには、博士号を取得しなければならないのだ。


やっと卒業したにも関わらず、向こうでまた3年間の学校生活を送ることになっている。


道のりはまだまだ長い。


でも、俺は諦めない。


絶対に理学療法士になってやる。


そのために英語を必死に頑張った。


英会話教室に通い、英検を受けて、留学もして。


その結果、今では会話に困らないほどの英語力が身についた。


「花純ちゃんと一緒に、遊びに行くからな」


湿っぽいのは苦手なのに、陽真は目を潤ませて別れを惜しんでいる。


「泣かないの。一生会えなくなるわけじゃあるまいし」


そんな陽真を見てクスクス笑う村上。


「矢沢くん、元気でね」


「おう。陽真のこと、よろしくな」


「あはは、わかってるよ」


「花純ちゃん、なんか適当じゃね?俺のこと、マジで頼むよ」


「はいはい、わかってるわかってる」


「その言い方……マジいい加減だな」


しょんぼり肩を落とす陽真と、動じない村上。


今まで女にだらしなかった陽真は、村上と付き合うようになって変わった。


ふたりはお似合いだと思う。


それだけ時間が流れてるってことなのか。


そう思うとなんとなく寂しい。


菜都の時間はあれからずっと止まったままだ。


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