甘いりんごに恋をした
-よ〜い、バンッ


ああ、来ましたね。今年もこの行事が。

体育祭は小2以来やってない。


毎年ココ(保健室)にひとりでいる。



窓から楽しんでる生徒達を見る。



今年もそうなるのかな。

先輩だって体育祭で楽しみたいよね。




私が邪魔しちゃだめだ__










でも、それでも

どうしても先輩を考えてしまう。



ねえ、早くきて?
いつものように林檎って呼んで?



ーそれでは、お昼休…




お昼になっても来ないのか



そうだよね…



窓を開けて外を眺めた。


バッッ


「ぶあはっ」


「ふっはははははははは」


「え?」


「なんだよ、ぶあはって
王子様登場が台無しじゃーん」


「依吹先輩?!?
いきなり、花を鼻に近づけないで
下さい!」


「なにそれダジャレ?」



「素直な気持ちです。」



「ごめんな、午前中来れなくて
色々出ねえといけなくて」



「全然です。先輩?」



「ん」



「きてくれてありがとう」





「え…」





「えって。どうかしましたか?」





「な なんでもないぞ
どういたしまして」




「はいっ」





「では、依吹先輩は最強リレーに出てくるぞ。林檎見ててな?」




「ここから全部見てます。
1位取って来てくださいね?」




「おう。じゃな」






依吹先輩の後ろ姿はかっこよくて



走ってる姿も、全てが。









「林檎、みてこれ。」




「はいはい、それ7回目
私の応援のおかげですね」




「それも7回目だぞ」




「そうでした?」





「うん。これあげるよ、林檎に」


そう言って、1位の手作りメダルを私の首にかける


「ほんとに?大切にする
毎日かけるよ」



「本当?」



「うーそっ」



「生意気だぞ(笑)」



「はいすいませーん、いーぶき先輩」

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