現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
と自分で言って、ハッと気が付いた。

ヤバい、この至近距離は、確実にシミやそばかすを見られているではないか。
下手すると、毛穴の開きとか顔の産毛とか、ばっちり見られているじゃないか!!

思わず顔を手で覆う。

「なんでいきなり隠すの?」

「い、いやだってなんにも手入れをしてないから、その、汚い顔を見られるのが……」

「全然可愛いけど?隠さないでよ、ちゃんと見せて」

手首を掴まれて、顔から引きはがされる。
目の前に映る岡田さんの顔は、ドキッとするような笑みを浮かべていて。

とても幸せそうな、そんな笑みだった。

「ほら、やっぱり可愛い。別にシミとかそばかすとか、そんなの気にしないよ。それよりも、こんなに近くで里緒奈の顔を見れることが凄く嬉しい。こうやって里緒奈の体温を、直に感じられることがとても嬉しいんだよ」


……岡田さんはずるい。

そうやって甘い言葉ばっかり私に言って。
これじゃ私、己惚れてしまいそうだ。


「岡田さんの、ばか」

「うーん、もうそろそろ名前を言ってくれないかな?言わないと、罰として襲うよ?」

そう言って、また意地悪そうな笑みを浮かべる。
朝っぱらから襲われてはたまらない。

ここは仕方がない。
この状況で、物凄く恥ずかしいけど……。


「か、……和宏くんの、ばか」

顔を赤らめて小さな声でそう言うと、いきなり覆いかぶさって深いキスを落とす。

「うぐ……!ん!!ちょ、ちょっと!ちゃんと名前言ったじゃん!?」

「気が変わった。名前言ってくれたからお礼に襲っちゃう」

「それお礼じゃない!そんなお礼いらないって~!!」

なんとか離れようと抵抗してみたけれど、やっぱり岡田さんには勝てなかった。
この人のキスは、私の頭を真っ白にさせる。

ああもう、なんでもいいやって思わせてしまう、そんな悪魔のキス。
駄目だなぁ、私。

流されてばっかりだ……。
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