正しい男の選び方
「だから、寝てないって言ってるじゃん!!」
「寝てなくても、彼女が傷ついたなら同じことなの!!」
泣きたいのは葉子の方だった。
カナが悲しんでいて、葉子はそれに加担したのだ。
そういう状況で、
なんで、浩平はよりによって葉子を頼るのだろう。
葉子だったら、浩平のトラブルを全て解決してくれるとでも思っているのだろうか?
それでいて、浩平のために何とかしようとしている自分が滑稽だと葉子は思う。
しかし……なぜだか、葉子は浩平を拒むことができなかった。
浩平は急に真剣な顔つきになる。
「……君を傷つけて本当に悪かったと思ってる。もう二度と君を悲しませるようなことはしないから許して欲しい」
「……うん、いいんじゃない。そんな感じ。もう一回言ってみて」
「君を傷つけて本当に悪かったと思ってる。もう二度と君を悲しませるようなことはしないから許してほしい」
「……もうちょっと、ゆっくり。もう少し低くて甘い声で言ってみて」
……もう一度言いかけて、浩平がたまらない、というように途中で笑い出した。
「何、これ。オレ、ドラマでもやってるの?」
葉子もそれを聞いて思わず笑い出してしまった。
「……でも、ドラマじゃないから、撮り直しはできないわよ。それにこれは芝居なんかじゃなくて一発真剣勝負でしょ」
「ハイ、わかりました」
「じゃ、行ってらっしゃい」
浩平は椅子から立ち上がった。
その声が明るかったので、葉子はなぜか安堵して、浩平を送り出すことができた。