正しい男の選び方
運命の出会い

それは、全く不愉快な食事だった。

やっぱり、高級タワマンの最上階のペントハウスに住んでいる男なんてどう考えても信用すべきではないのだ。

快楽主義の浪費家。
使い切れないほどのカネを儲けて、自分勝手に欲望を満たし、世の中に害悪をまき散らす男。

あいつは、自分がおいしい肉を食べるためなら、アマゾンがどうなってもいいと言い切った。

思い出しただけで、怒りで全身がぶるぶると震え出す。

見ておれ! 
次こそは絶対にアイツの得意げな鼻をへし折ってやる!

葉子は、鼻息荒く大股でカツカツと歩いて、目的の場所へ向かっていた。

久しぶりに、NPO団体「アマゾンの森林を守る会」の会合に参加するのである。

葉子は仕事の合間にこのNPO団体で活動しているのだが、ここのところ、スーパーのパートさんのやりくりがゴタゴタしており、忙しくてなかなか参加できていなかった。

「アマゾンの森林を守る会」では、アマゾンに住む子供達への支援や、森林保護のための寄付を募ったりしている。
また、定期的に後援会やワークショップも開いていた。

もともと、昨今のはやりであるフェアトレードについて詳しくなれ、という社命が、葉子がここの活動に関わるきっかけとなったのであるが、今では、寄付のイベントに参加したり、会合に参加したりと積極的に関わるようになっていた。

葉子自身、少ない給料の中から毎月3000円ほど寄付している。





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